EXHIBITION

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Tegene Kunbi, Untitled, 2024, Oil on canvas with textile, 160×124cm

  • Stories from Africa : Chapter 3 / グループ展「Echoes in Colour, Mapping the Intimate」アブドゥライ・コナテ、ジャヌアリオ・ジャノ、テゲネ・クンビ、ユスフ・アイナ
  • 2025.09.20 Sat - 2025.10.18 Sat
    • アブドゥライ・コナテアセット 1
    • テゲネ・クンビアセット 1

STANDING PINE 東京では、2025年9月20日(土)より、アフリカにルーツを持つ4名のアーティストによるグループ展「Echoes in Colour, Mapping the Intimate」を開催いたします。色彩と素材を媒介に、個人的な記憶や感情が、普遍的な物語として立ち上がる本展では、記憶、抵抗、そして内省の器としての素材を通じて、アブドゥライ・コナテ、ジャヌアリオ・ジャノ、テゲネ・クンビ、ユスフ・アイナの作品が、文化的アイデンティティ、歴史的記憶、内面の情動といったテーマの交錯を探求します。

アブドゥライ・コナテは、主にテキスタイルを用いて布を物語へと変貌させます。マリの伝統を背景に持つその壮大かつ鮮やかな布作品は、具象と抽象の境界を漂いながら、現代社会における政治的・環境的課題を浮かび上がらせ、精緻に構成された色彩とパターンを通じて、グローバル化した社会における集合的な不安をマッピングしつつ、ローカルな美学と象徴を視覚的言語として呼び覚まします。コナテの作品は、布の表面に現れるものだけでなく、アフリカの歴史と生の重みを映し出しているのです。

伝統と現代性、身体と記憶のあいだを横断するジャヌアリオ・ジャノは、アンゴラ生まれ。ロンドンで学んだあと、越境するアイデンティティの緊張を起点にパフォーマンス、写真、テキスタイル、インスタレーションを組み合わせた表現を構築し、場所や遺産、そして現代文化がいかにして自己を形成するのかを探求しています。ジャノにとって、素材は決して中立的なものではなく、個人的でありながら政治的な物語を紡ぐための文法のような存在です。その作品において身体は、幾層にも折り重なる記憶の場として位置づけられ、祖先の過去と今という瞬間の現実とを静かに結びつけています。

テゲネ・クンビの絵画では、色彩はそれ自体が瞑想と主張の場として機能しています。油彩とテキスタイルを用い、幾何学的な形態と鮮烈な色のコントラストによって構成されるリズムは、エチオピアの伝統に息づく視覚言語を想起させ、正教やコプトの写本、壁画、織物に見られる色調や質感を彷彿とさせます。と同時に、そこには個人的な経験に根ざした現代的な視座も確かに息づいています。各キャンバスは、色彩と反復によって織り成された風景であり、内面と文化の交差点としての空間を示しています。

ユスフ・アイナは、アクリル絵具とインスタレーションを主軸に、複数の領域にまたがる実践を展開するアーティストです。幼少期から芸術に強い情熱を注ぎ、創造性を人生の指針としてきた彼は、疎外、信頼、帰属意識といった心理的・社会的なテーマに向き合いながら、それらが人間や環境にどのような影響を及ぼすのかを探求しています。そして、アイナは、変容し続ける視覚言語の可能性を押し広げることで、代替的な空間や新たなアイデンティティの創出を試みています。また、彼の作品にはしばしば、漫画的な人物像やモチーフ、幻想的な風景が登場し、物語を紡ぎ出します。中でも「ainasm(アイナズム)」と呼ばれる流動的なコード状の模様は、彼の作品に繰り返し現れる「eniyan(人間)」というキャラクターを包み込み、人間性の結束や忍耐の力を象徴する重要な要素となっています。「ainasm」という語は、彼の姓「Àina」に由来し、ヨルバの伝承においては「へその緒が首に巻かれて生まれてきた子」を意味する言葉でもあります。

4名のアーティストの実践は、それぞれ固有の声を持ちながらも、個人的な体験に基づく表現を通して互いに呼応し、ひとつの集団的なハーモニーとして、個を超えて遥か遠くまで響き渡ります。それは、鑑賞者にとって決して遠く抽象的なものではなく、深く感情に訴えかけるものとして迫ります。本展「Echoes in Colour, Mapping the Intimate」は、現代的な表現のなかに伝統のリズムを見出し、作家たちの内的世界が共有された記憶や文化的風景、想像上の未来を照らし出す場となるでしょう。


会期:9月20日(土)– 10月18日(土)
開廊時間:12:00 - 18:00 ※日月祝休廊
オープニングレセプション:9月20日(土)17:00 - 19:00


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アブドゥライ・コナテ
1953年マリ・ディレ圏生まれ、バマコ在住。バマコ国立芸術院とハバナのアルテ研究所で絵画を学び、90年代以降はテキスタイルを主軸に、アフリカの伝統と現代社会の問題を融合した作品を制作している。色彩と象徴を通じて、政治や環境、宗教、感染症といった主題を詩的に可視化。ヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタ、ダカール・ビエンナーレをはじめとする国際展に多数参加し、世界各地の主要美術館に作品が収蔵されるアフリカ現代美術を代表する作家のひとりである。

Abdoulaye Konaté, Composion au triangle violet, 2019, Textile, 209×149cm


テゲネ・クンビ
1980年エチオピア・アディスアベバ生まれ、ベルリンを拠点に活動中。アディスアベバ大学で美術教育を学んだ後、DAAD奨学金を受けてベルリン芸術大学で修士号を取得。ドイツ国内外で複数のグループ展や個展を開催するほか、パリ、カサブランカ、ニューヨーク、ナイロビ、ヌアクショット、アムステルダムなどで国際共同プロジェクトやワークショップに参加をし、2022年にはダカール・ビエンナーレにてセネガル政府よりグランプリを受賞。アフリカ出身の新世代作家として国際的な注目を集めている。

Tegene Kunbi, Untitled, 2024, Oil on canvas with textile, 150×120cm


ジャヌアリオ・ジャノ
1979年アンゴラ・ルアンダ生まれ、現在はルアンダ、ロンドン、リスボンを拠点に活動をしている。ゴールドスミス・カレッジで修士号を取得し、写真、映像、テキスタイル、彫刻など多様なメディアを用いたインスタレーションを展開。身体、記憶、文化的遺産といった主題を軸に、伝統と現代性、個人と集団の間にある緊張感を詩的に表現する。欧州を中心に国際展や個展を開催し、ドイツでの個展は雑誌Friezeにも取り上げられるなど、その活動は多方面から関心を集めている。

Januario Jano, Untitled, 2019, Fabric, Rope, Bed wooden leg, Steal grill, Bedding,
Gelly Transfer onto canvas, Dye, Stitch, Sewing, 224×180×50cm


ユスフ・アイナ
1997年ナイジェリア生まれ、ラゴスを拠点に活動している。アコカにある連邦教育大学で美術教育を学び、2018年に卒業。2019年にナイジェリア大統領官邸でのグループ展に参加し、2021年には西アフリカを代表するアートフェア「ART X Lagos」にてインタラクティブな「エニヤン」ブースを発表した。以降もラゴスのArt Twenty Oneでの個展をはじめ、台北、ソウル、アビジャン、ロンドン、ロサンゼルス、アブジャなど国内外で精力的に発表を続けている。

Yusuff Aina, Eniyan_Whispers Of The Heart 2, c.2024, Acrylic On Canvas, 152x122cm (59.84 x 48.03 in)

Yusuff Aina / Eniyan_ Bronze (limited) / 2023 / Bronze / 30 x 20 x 15 cm (11.81 x 7.87 x 5.91 in)



協力 : Retro Africa


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