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  • 平川典俊
  • ヒンメルストラッセ
  • 2025.11.01 Sat - 2025.11.29 Sat

STANDING PINE東京は、11月1日(土)より平川典俊による個展「ヒンメルストラッセ」を 開催いたします。アート・バーゼル香港2024にて発表されたインスタレーション作品をギャラリー空間に再現し、日本初公開いたします。展示の中心には、写真とサウンドインスタレーションによって構成される薄暗いウッドロッジがつくりだされます。ロッジの中に展開する写真作品は、福島第一原子力発電所からの放射能による影響を受けた地域にある神社の鎮守の森にて撮影されたものであり、ロッジ内に流れるサウンドは福島の子どもたちの声と、神道の儀式の際に使用される土鈴の音色から構成されています。来場者は、ロッジの隅に開けられた小さな入口からその空間へと入ることができ、平川のつくりだす神秘的な世界を体験します。それは、福島の子どもたちの現在、そして未来を再考するきっかけになるでしょう。

《ヒンメルストラッセ》
ギャラリー内に設置されるウッドロッジの中には、小さな照明が一つ、そして四方の壁には福島第一原発からの放射能によってひどく汚染されている福島の海岸線沿いの神社にある鎮守の森を撮影した大きな白黒写真12枚がかけられ、ほぼ完全な暗闇が作り出されます。ロッジの中に飾られた写真の背後からは、ヒンメル(天国)からその部屋に降りてくる神を呼ぶための土鈴の音色、そして、未来をささやく福島の子どもたちのかすかな声が聞こえます。

約2000年前、日本に古代ヘブライ人の部族が到着し、そのうちの1つが四国の徳島に定住し、タバナクルの再現として神社を建立しました。1000年ほど前に、その中のいくつかの部族は太平洋に面した福島の海岸線に移動しました。その場所は、現在福島第一原子力発電所が建設された場所でもあります。また、福島の海岸線の地域では、古代ヘブライから徳島を経由して福島に伝わったとされる、神社の祭事が存在すると言われています。

日本には、1万年以上もの間存在する古神道の影響を受けてつくられた鎮守の森があります。千年以上にわたって人々は鎮守の森には神が降りてくると信じており、それはそれぞれの地域の土地や住民の命を守るために、神社がある場所に作られました。

「ヒンメルストラッセ」はドイツ語で「天国への道」を意味し、ナチスが強制収容所においてユダヤ人を毒ガス室へ送る最後の道を、皮肉を込めてそう呼んだとされています。74 年以上前、「ヒンメルストラッセ」を通り、ナチスの強制収容所で150万人もの子どもたちがホロコーストによって殺されました。現在、古代ヘブライを起源とする福島とその周辺地域の100万人以上の子供たちが、同じように世界経済の犠牲となって放射能汚染によって命を落としているのです

「ヒンメルストラッセ」は、過去の現実とは完全に矛盾する言葉であり、復興支援の名のもとに子どもたちが置かれている現在の状況と全く同じ意味をもちます。しかし、福島の海岸沿いにある神社の鎮守の森に囲まれ、子どもたちに前向きな未来の希望を与えることで真の意味での天国への道をつくりだし、子どもたちの現在の状況を変えることはできるでしょう。


会  期 : 11月1日(土) - 11月29日(土)
開廊時間 : 12:00 - 18:00 (火-土)  ※日月祝休廊
オープニングレセプション : 11月1日(土) 17:00 – 19:00
※11月1日(土) アーチスト在廊予定


アーチストプロフィール
平川典俊は1960年に福岡県に生まれ、1993年よりニューヨークを拠点に活動している。応用社会学を学んだ後、1988年より作家活動を始め、現在は国際的な現代アーティストとして知られている。写真、映像、ダンス、インスタレーション、パフォーマンスなど、多岐にわたるメディアで作品を制作してきた。

1994年には、外国人アーティストとして初めて American Fine Arts(ニューヨーク)で個展を開催。また、1992年・94年・97年には Galerie Emmanuel Perrotin(パリ)、1996年と2004年には Zeno X Gallery(アントワープ)、1997年と98年には Deitch Projects(ニューヨーク)にて個展を開催した。2004年には Frieze Art Fair(ロンドン)でのパフォーマンスが国際的な注目を集めた。

これまでに彼の作品は世界各地の美術館、アートセンター、ギャラリーで300回以上展示されており、ヴェネツィア・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエンナーレ、Site Santa Fe Biennaleといった国際展をはじめ、MoMA PS1(ニューヨーク)、ポンピドゥー・センター(パリ)、Museum für Moderne Kunst Frankfurt am Main(フランクフルト)、Leeum(ソウル)、Hermès Forum(東京)などで個展・グループ展に参加。その作品は M+(香港)、東京都現代美術館、CAPC musée d'art contemporain de Bordeaux(ボルドー)、Museum für Moderne Kunst Frankfurt am Main(フランクフルト)など、世界各地の美術館にもコレクションされている。

平川は詩人、ミュージシャン、振付家、建築家といった多様な分野のアーティストともコラボレーションを行い、その作品は Das TAT(フランクフルト)、Danse Montpellier、Fondation Cartier pour l'art contemporain(パリ)、トロント大学などで発表されている。

平川は、人間の活動は私達が生きるうえでの文化を形作ると信じる。彼の作品は、この文化の拡大のために人間の認識のキャパシティーを広げることを提示する。このフレームワークの中で、平川は人間の認識の限界を押し上げ、未来の美学的見識を改変する。


Installation entrance


Inside the installation


Guardian E / Photograph / 60×38cm / Edition 5 / 2024

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