EXHIBITION
- CURRENT EXHIBITION
- 鈴木孝幸
- 向こうの森は僕の足 place / wire
- 2026.01.17 Sat - 2026.02.14 Sat
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STANDING PINE 東京では、2026年1月17日(土)より、鈴木孝幸の個展「向こうの森は僕の足 place / wire 」を開催いたします。山間部を拠点に制作を行う鈴木孝幸は、日々の風景に潜む自然の微細な「変化」に目を凝らしながら、場所と場所、ものとものとのつながりを静かに探ります。森や山の見えない輪郭、目の前の雨粒や水の流れが導くその先にある風景。鈴木は本展を通じて知覚を超えた関係性に思いを巡らしながら、「見ること」は万能ではないという前提に立ち、目の前の風景から遠く離れた何かを想像する——そんな広い視野を持つ「見る」という行為そのものを見つめ直そうとするのです。私たちが日々何気なく向ける視線が、世界の断片をどのように結び直し、つながりの気配を浮かび上がらせるのか。その静かな問いかけが、作品の前に立つ私たちの足元から広がります。
会期:2026年1月17日(土)– 2月14日(土)
開廊時間:12:00 – 18:00(火–土) ※日・月・祝 休廊
オープニングレセプション:2026年1月17日(土)17:00 – 19:00
※1月17日(土)アーティスト在廊予定
協力:Gallery HAM
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アーティスト・ステートメント
向こうの森は僕の足 place / wire
川を遡った先には、森があります。
水の流れに沿えば、そこには海が見えてきます。
水は河川へと集まり、やがて海へと辿り着く。
水源涵養。
どのくらいの方々が、この耳馴染みのない言葉について知り、暮らしの中で意識しているでしょうか。 視線の先の森は、たくさんの水を蓄え、その流れを調整する役割を果たしています。 岩肌むき出しの山は、視覚的には迫力や趣がありますが、堆積した土が少ないために水は一気に流れやすく、 下流域で洪水が発生する危険を伴います。 一方、フカフカの土が育まれ、樹木が良く育った森は、スポンジのように水を蓄え、ゆっくりゆっくり水を地下へと 浸透させていくことで、そこでは水の流れが調整されています。 この一見しては見えてこない、地下の話、森や林の土壌が水を蓄える機能のことを水源涵養機能と言い、それ は上流域と下流域との繋がりを感じさせるものとして、非常に興味深いものです。 また、この水を巡る話には、よりミクロな存在である、森を構成する一本一本の樹木、植物の根の存在も見え隠 れします。 植物の根は土を掴むように地中に張り出し、上流での土砂崩落など、災害を防ぐ役割を果たしています。 土砂が流れてしまわないこと、根がしっかりと張っていること、土がしっかりと蓄えられていること。 そこにもまた、森と下流域との繋がりを感じずにはいられないのではないでしょうか。 山から海へと続く景色一つとって見ても、私たちの生きる空間は、さまざまなバランスの中に存在している、と言 えそうです。
とまあ、とても「視覚芸術」の話とは思えない視点からの話題となりましたが、そこには「見る」ことを巡る問題が 詰まっているように感じています。
「目にする」ものからどういった空間や場所、ものの繋がりを感じとるのか。 そもそも、私たちの「目」は何を見ているのか。
(日本は)狭い国土の中で、下流域の開けた場所に住まいを構える人々が多いのは必然的に映ります。 そして、狭いが故に遠くに山が見えることもしばしば。 遥か遠くに見える森は、私たちの足元への水の流れを感じさせてくれます。 頭上に眺められる月は、常に立っている場所に影響を及ぼし、そして自身の移動を示してもいます。 海溝の存在と地震、天体と潮の干満......。
見えないものもまた、足場を動かす。
「見ること」は、遠く離れた場所やものを想像すること、感じとること、という側面も持ち合わせているのではない でしょうか。
この生きる空間で、彫刻もまた同じ空間を共有し、間にある繋がりを、「見る」。
鈴木孝幸
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「sculpture -41」/ 2024年 / 鉄、モルタル / 150×150×550 mm
鈴木孝幸
1982年、愛知県に生まれ、現在も愛知県を拠点に活動。2007年に筑波大学芸術研究科修士課程総合造形分野を修了。菅木志雄が審査員を務める大黒屋現代アート公募展で2009年に大賞を受賞。主な個展に「那珂川のほとりで place/linear」/ 板室温泉大黒屋サロン(2010, 栃木)、「砂地で本を読む place/words」/ 旧門谷小学校 (2020, 愛知)、「星か根か place/sight」/ Gallery HAM (2025, 愛知)など。グループ展に、「中之条ビエンナーレ」(2009 / 2011 / 2013 / 2015 / 2021, 群馬)、「するがのくにの芸術祭 富士の山ビエンナーレ」(2014,静岡)、豊穣なるもの-現代美術 in 豊川」/ 豊川市桜ヶ丘ミュージアム他 (2015, 愛知),「現代美術のポジション 2021-2022」/ 名古屋市美術館 (2021, 愛知)、「幻の愛知県博物館」/ 愛知県美術館(2022, 愛知) など。
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