EXHIBITION

  • PAST EXHIBITION

  • 設楽知昭
  • 曇空ニ穴ノ空イテイル絵
  • 2019.04.06 Sat - 2019.04.27 Sat
    • 設楽知昭アセット 1

STANDING PINEでは4月6日(土)より設楽知昭の個展「曇空ニ穴ノ空イテイル絵」を開催いたします。設楽はカンヴァスだけでなく様々な支持体の上に展開する独特の絵画表現で知られています。多彩な筆致と意外性に満ちたモチーフたちは、鑑賞者を設楽の独自な世界へと誘います。本展では、油彩、シルバーポイントなどの新作を中心に展示いたします。

本展のタイトル「曇空ニ穴ノ空イテイル絵」は、展示作品の一つでもあります。カンヴァス一面に広がるグレーの背景には、黒く塗りつぶされた穴や、怪しげな女性がぼんやりと描かれた穴など、無数の穴が浮かんでいます。設楽は、「絵画とはいわば穴のようなものかな」と語ります。ギャラリースペースの真っ白な壁に並べられた絵画たちは、無機質な空間から逃げ出すための穴のように鑑賞者の前に立ち現れます。

また、展示作品には「扇風キ(SENPUUKI)ト(TO) 涅槃(NEHAN)」、「夢(YUME)ノ(NO)中(NAKA)デ(DE)夢(YUME)ヲ(WO)作(TSUKU)ル(RU)処(TOKORO)」など、アルファベットや漢字、カタカナが組み合わされた文言が添えられています。これらの言葉は、絵画の中で様々なモチーフと共鳴します。「絵画は沈黙の詩、詩は語る絵画」と言われるように、古代より詩と絵画の親密性は多く語られていますが、設楽が絵画の中に刻んだ文字は、単なるイメージの補足や説明ではなく、時には逆説的に作用する互換性のある表現手段であると言えます。設楽の表す絵画と文字、2つの表現は相乗的に支え合い、作品の不思議な魅力を際立たせます。

設楽の作品は、非意識とも言える世界の上に成り立っているかのようです。絵画に登場するモチーフやその表現方法は、時には作家自身が意図していなかったものへと変化していきます。創発するように生み出された作品は、謎めいた世界観を作り出し、鑑賞者の好奇心を掻き立てます。



曇空ニ穴ノ空イテイル絵 / 2018
油彩、シルバーポイイント、カンヴァス / 1333×970mm



部屋ノ絵 / 2018
油彩、シルバーポイイント、カンヴァス / 455×275mm