EXHIBITION

  • PAST EXHIBITION

「untitled」/ 2018 / 1455×1120mm / paper, pencil, gouache, medium, pigment, white pingment, foundation, conte

  • 犬飼真弓
  • Nine
  • 2018.05.12 Sat - 2018.06.02 Sat
  • レセプションパーティー:5月12日(土) 18:00 –
    • 犬飼真弓アセット 1

 STANDING PINEでは、5月12日(土)より若手作家・犬飼真弓の新作個展「Nine」を開催いたします。繊細な筆使いと微細な濃淡で表現された作品は、ファンデーションや墨など様々な画材を組み合わせた犬飼独自の技法で描かれ、不気味なオーラと共に妖艶な美しさが印象的です。その憂いを含んだ佇まいと日本画や洋画の枠にとらわれない独特の絵画表現は、彼女の作品に静かで力強い、不思議な存在感を与え、鑑賞者を魅了します。「Nine」と題された本展では、犬飼が大学を卒業してから9年目になる本年、改めて今後果てしなく続いていく作家人生の中で「何の為に描くのか」「何の為に生きるのか」を繰り返し問いながら制作した新作を展示します。

 犬飼の作品に登場する女性たちはどこか悲しげで冷淡な表情を帯び、非常に儚く、時に恐ろしい印象を与えます。しかし、彼女らの眼差しからは、その儚さに押しつぶされない力強い生命感、深い精神性すら感じられます。本展の中央に展示される「無題」では、頬を寄せ合う二人の女性像が描かれます。二人はそれぞれ虚ろな目で俯き、朧気に前方を仰ぎ、漠然とした表情を浮かべています。一方、頬を寄せ合う二人の左目と右目は、画面中央で重なり合い、異様な迫力で鑑賞者を見つめます。その様子はまるで彼女たちが一心同体であるかのようであり、精神と身体の境界の曖昧さや人間の姿形の疑わしさを訴えかけます。

 犬飼は、「人間を描いているという感覚はない。(このような)姿形をした生き物を描いている。」と語ります。心の奥底にあるものを描くことで、自らの本性に向き合い、精神の行方が不明瞭となっている現代社会において、人間の本質とは何なのかを改めて問い直します。


2018年4月22日まで私だった存在 / F30(910mm×727mm)
紙・鉛筆・顔料・ガッシュ・メディウム・墨・水彩・コンテ