EXHIBITION
- PAST EXHIBITION
- スリー
- three is a magic number 13
- 2018.07.07 Sat - 2018.07.28 Sat
- レセプションパーティー:7月7日(土) 18:00 –
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STANDING PINEでは、7月7日よりthreeによる個展「three is a magic number 13」を開催いたします。threeは、2009年に結成された福島を拠点に活動する三人によるアーティスト・ユニットです。漫画やアニメに登場するキャラクターのフィギュアなどを大量に用いて作品を制作することで、現代社会が内包する様々な様相を、時に皮肉を織り交ぜながら可視化しようと試みます。
本展では、フィギュアにおける外箱をモチーフに、鑑賞者参加/体験型のインスタレーション作品を展示いたします。展示するフィギュア作品は全て白い箱で覆われ、本来外箱では透明な窓の部分も中が曇り明瞭に作品を観ることができなくなっています。それらは全て実際のフィギュアが販売時に使われている外箱を参考に制作されたものです。
鑑賞者は曇った窓にステッカーを貼ることで一部を透過させ、中のフィギュア作品を見ることができます。それらは日に日に増えることで鑑賞者の足跡やSNSにおける「いいね」のように残っていき作品はどんどん可視化していきます。作品の全貌を直接鑑賞することができないもどかしさは、店頭に並ぶ商品の箱を開けることができないのと同じように、フィギュアが通常辿る販売の光景になぞらえ、消費や鑑賞をめぐる問題意識や感情、疑問を提示しています。
threeは、「私たちの作品は、おびただしい数のキャラクターフィギュアによって、何者であるかという個性の解像度が下げられたフィギュアである。」と語ります。鑑賞者は、作品すなわちフィギュアのポージングや髪型など、外形としておぼろげながら残っている情報からどのような人物像であるか想像し、表面技法の違いや欠損部分から現代のキャラクターが持つ様々な様式美と嗜好を紐解く面白さに魅了されます。
人は、古くから失われた部分やモザイクの向こう側を想像し、美を見出してきました。鑑賞において想像と思案はとても重要です。ハイアートの場でも画像を撮影することが許され、それらをシェアする光景は、近年ではしばしば見られるようになり、もはやスタンダードとなっています。ことフォトジェニックな作品。外見において奇抜である作品はその対象になることが多く、それらのイメージをシェアすることで消費し、自分たちの日常を編集することも当たり前となっています。オンラインでこれら編集された日常の断片から他者を想像し自らへとフィードバックする行為はとても魅力的であり、その逆もまた然り。そして、日常の断片をあげればあげるほどにオンラインでの人物像は解像度があがり鮮明になっていきます。それらはまるで自らをもとにしたオンラインでのキャラクターであり、彼らの作品に使用されるフィギアのキャラクターと重なって見えます。
障子の穴や襖の隙間のような窓。そこから見える他者を覗き見る行為。はたまた晒す行為はたまらない愉悦と快楽があるかもしれません。しかし、本展示において制限された窓は、鑑賞者の行為をさらに外から覗くことで、より観賞し想像と思索へと導くのか、はたまたイメージを消費しオンラインでのキャラクターを作り上げる一助となるのか。鑑賞者によって作られる無数の窓は、それらを篩に掛ける穴になることで、アイデンティティの行方を模索する現代社会の様相を映し出し、生産と消費、群衆と個の不明瞭な関係性を訴えかけます。
77V type 19.9kg / 2017 / Figure, Wood, Alumi, PVC / D9.5 × W169.7 × H95.5 cm
77V type 19.9kg / 2017 / Figure, Wood, Alumi, PVC / D9.5 × W169.7 × H95.5 cm