EXHIBITION

  • PAST EXHIBITION

“Seeking a Light”, 2008 - Grand Street B,D - Jenelle Philipp, Sep.7th, 2005 Diptych, Duraflex Print, 72 x 72 cm( 28 1/3 x 28 1/3 in.) on each print

  • 平川典俊
  • Seeking a Light
  • 2019.07.13 Sat - 2019.08.10 Sat
  • レセプションパーティー:7月13日(土) 18:00 (作家在廊予定)
    • 平川典俊アセット 1

STANDING PINEは、7月13日(土)より平川典俊の個展「Seeking a Light」を開催いたします。平川は1960年福岡県に生まれ、1988年に作家活動を始め1993年よりニューヨークを拠点に活動し、現在は国際的な現代アーティストとして知られています。写真、映像、ダンス、インスタレーション、パフォーマンスなどの多岐に渡る作品を制作し、その作品はVenice Biennale (ヴェニス)を始め、Site Santa Fe Biennale (ニューメキシコ)、Istanbul Biennale (イスタンブール) などの国際展や、MoMA PS1 Museum (ニューヨーク)、Centre Pompidou(パリ)、Museum fur Modern Kunst(フランクフルト)、Leeum (ソウル)、Hermes Forum (東京)など、世界各地の美術館、アートセンター、ギャラリーにおいて発表されています。

本展では、平川がニューヨークで制作した写真シリーズ「Seeking a Light」を日本初公開で展示いたします。「Seeking a Light」は、2005年の夏に様々なニューヨークの地下鉄の駅のホームで撮影され、電車を待つ人物の写真と、電車の光が接近する瞬間を捉えた写真で構成されています。

ニューヨークの地下鉄システムは、1904年に開通して以来市民にとって欠かせない基盤となっています。毎日600万人もの人々がこのインフラを通過し、656マイルにもなる線路と468の駅を移動します。

平川は、当時15年間のニューヨークでの生活を通して、ニューヨーカーがこの公共交通システムを処理するための直感と本能に依存していることに気が付きました。そこに時刻表はなく、いつ電車が来るのかを誰も予想することはできません。今や世界中にある電光掲示板のような電車の到着を知らせる装置はなく、人々は未来をただ待ち遠しく思い、暗いトンネルの影に視線を集中させることしかできないのです。

「待つ」ということは、張り詰めた行為でありながら、霊的な行為でもあります。線路の縁に立ち、人々は瞑想し、トンネルの暗闇から何かを予感します。彼らは、まるで光の中から誰かが現れるのを期待して、霊的な場所を覗き込むかのように、地下鉄の車両の光を捜し求めるのです。

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同時開催企画

The anima's talent

会期中、STANDINGPINEでは平川典俊の写真シリーズ「The anima's talent」を特別展示いたします。


The anima’s talent, 2014 / 2016, 45.7 x 30.4 cm, C-Print (Fuji Crystal Archive)

アニマはユングによって、男性の夢に現れる女性像の元型として男性たちの共通のイメージに存在する男性の中の女性像という概 念でとらえられているが「女性は男性のオーラを持ち、男性は女性のオーラを持つ」とルドルフ・シュタイナーは語っていることからも説明できるように、アニマは実は内的な男性自身でもあるとも思っている。女性がその内的男性を表出している女性像の被写体として男性に対して演じる時、男性は女性性をそこに見い出し女性は自らを肯定させるためのイメージの内包という錯覚をすることになる。だから女性を男性が演じることによって成立する歌舞伎、バロック・オペラ、中国オペラが存在し支持されてきたのと同時に、アニムスという女性の中の男性像を女性が演じることに成立する「宝塚」が女性に支持されてきた理由が女性の本質が男性性にあることをも証明していると思う。アニマという内的な男性像を女性が女性性の発露として写真の中で被写体として演じることは、逆説的な意味で 女性が内面に保有しない女性性である男性性を演じ惹かれていくプロセスでもあり、それを女性自身の内面に取り入れる作業が快楽の本質としての女性の天分でもあるのではないだろうか。「アニマの天分」のシリーズはこのような仮定を通じて鑑賞して貰えれば非常にありがたく思う(今回、南明奈がそのアニマの被写体を演じた)。

平川典俊